痛いくらいの日差しに頭がぼんやりしているうちに、夏が一瞬で通り過ぎていってしまった。オリンピック・パラリンピックもいつの間にか静かに終わりを迎え、なんとも言えない後味だけが残ったようにも思う。私たち2人の誕生月である9月。夏を振り返りつつ、気持ちを新たにスタートしたい。
👀 Guest pick / from Morroco (September 2021)
今月のゲストピッカーは、モロッコ出身の建築家&アーバンプランナー・Safiya El Ghmariさん。都市における”インフォーマル”さに注目する彼女に、モロッコ、そしてアフリカのアーバニズムの今が垣間見れる情報を教えてもらった。行政による都市計画や政策とは違う次元で行われる”インフォーマルな都市空間”(闇市や不法滞在、土地権利を持たずに広がるスラム地域など)に関する論文は、the African Journal of Architecture and Urbanismより閲覧可能だ。
以下、Safiyaさんが選ぶ、今チェックしておきたい都市のグッドニュース。De.Villeの「Africa」を聴きながらどうぞ。
YouTube
'On Cities' MasterClass by Norman Foster Foundation
お馴染みノーマン・フォスター財団による、「都市」に関するレクチャーシリーズ。1つのレクチャーが20分程度でコンパクトにまとめられているのが嬉しい。建築やアート、デザイン、文化遺産管理など、各分野の専門家たちの話をきくことができる。"The Paradox of Informal Urbanism" by The University of Melbourne
Abdulmaliq Simone
インフォーマル・アーバニズムとは?メルボルン大学の講義で分かりやすくまとめられているので、このトピックに興味がある人はまずはここから入ってみると良いかもしれない。
Podcast
Chicoco Floating radio station
ナイジェリア連邦共和国のニジェール・デルタに位置する都市・ポートハーコート (Port Harcourt) で、水辺の集落に暮らす若者たちが始めたラジオ番組。スラムに暮らす人々の声を、都市の日常から拾いあげる。政治的なテーマや社会課題を扱いつつ、定期的に今ホットな音楽を紹介しているのも良い感じ。ラジオに添えられた写真も、想像力を膨らませる。In Praise of the Margins
モロッコ出身・ドイツ在住デザイナーによるPodcast。西洋的な枠組みを超えて実践者が集まり、クリティカルな議論を繰り広げる。初回ゲストは、Good News for Citiesの杉田が話しているのでぜひ聴いてみて欲しい。エジプト人イラストレーターによるカバーアートが印象的。Until Everyone is Free
1963年に英連邦王国として独立したケニア共和国。首都のナイロビは、国際連合環境計画、国際連合人間居住計画の本部があることで有名だ。「Until Everyone is Free」は、ケニア独立の2年後である1965年に殺害されたジャーナリスト・Pio Gama PintoをテーマにしたPodcast番組。忘れ去られた活動家たちの物語を紹介しながら、ケニアにおける「自由」の意味を問う。現地語のため聞き取りはできないけれど、サマリーを読むだけで学びになる。Slum Upgrading and the Future of Cities
世界中から都市の今を切り取るPodcast「the Future of Cities」。第4段である「Slum Upgrading and the Future of Cities」では、スラムの現状と未来が議論されている。
Urban News from Morroco
Tangier Think Tank
モロッコ北部の都市でジブラルタル海峡の西端にあるタンジールを舞台に、都市の課題を探るプラットフォーム・Tangier Think Tankが最高にかっこいい。IDEA、ART、ACTIONの3軸から、出版活動や展示会・ワークショップの企画、街歩きの企画など幅広く活動を行っていて、自由にブロックをドラッグして移動できるWebサイトのインターフェースが遊び心があって可愛い。彼らがエジプトのシンクタンクCluster Cairoと共に行ったワークショップ「Mapping Tangier: Sites and Flows over the Formal-Informal Interface」では、フォーマリティとインフォーマリティの淡いをマッピング化する取り組みを行なった。住宅や食市場、密輸入品、リサイクルなど、フォーマルな経済のなかで行われるインフォーマルな活動と、都市におけるその役割に目を向けている。
Urban Art
Nouh El Idrissi Fettah
モロッコのイラストレータによる、どきりとする作品の数々。Race, Space & Architecture
人種と空間、建築の関係性を問うプロジェクト。Instagramはこちら。Style Beldi
モロッコの都市・カサブランカで活動するスタイリスト・Karim ChaterによるInstagramアカウント。自分を被写体に、さまざまな街の様子が切り取られているのが面白い。
Books
『Introduction to Urban Science: Evidence and Theory of Cities as Complex Systems』by Luis Bettencourt
『Architecture in Context: Designing in the Middle East』by Hassan Radoine
Events
TROPICAL LAB 15: INTERDEPENDENCIES(Sat 21 Aug – Sat 16 Oct)
世界中から参加者が集まるシンガポールのアートキャンプ・TROPICAL LAB主宰の展示。Archive of Forgetfulness - Remapping borders in Africa
Podcastシリーズ「Conversaions wih Neighbohords」、アフリカ中から集まったキュレーター陣によるオンライン展示「Archive of Forgetfulness」、キュレーター手動のローカルプロジェクトの3軸で、「移動」と「インフラ」をテーマに活動するプラットフォーム。アフリカのキュレーションシーンを垣間見れるのと、”忘れやすいことのアーカイブ”という名前がいい。雰囲気を掴むのに、まずは予告編を観ることをお勧めしたい。
🎧 Podcast New Release
【#58】 都市を終わらせること、都市をたたむこと
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村澤真保呂著『都市を終わらせる―「人新世」時代の精神、社会、自然』(2021年・ナカニシヤ出版)と、饗庭伸著『都市をたたむ』(2015年・花伝社)の2冊を読み比べ。都市を愛し活動している私たちにとってある意味ショッキングな「都市を終わらせる」「都市をたたむ」という言葉の意味と私たちなりの意見をおしゃべりしていく。
・村澤真保呂著『都市を終わらせる―「人新世」時代の精神、社会、自然』(2021年・ナカニシヤ出版)https://cutt.ly/9Q72YmP
・饗庭伸著『都市をたたむ』(2015年・花伝社)https://cutt.ly/fQ72DrC
【番外編】街や地域のコミュニティデザインを何から学んだか|リスナーさんからの質問回答 #2
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街や地域のコミュニティデザインを何から学んだか(本なのか、学校なのか、活動への参加なのか)?リスナーさんからの質問にカジュアルに答えるシリーズ第二弾。
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