Good News for Citiesとして初めてとなるZineを発売しました。「Zine vol.1 Amsterdam "Being an outsider in the city —よそ者としての都市—"」には、2020年9月〜11月に私たちが滞在したアムステルダムでの活動記録と観察の一部がまとめられています。ぜひ手にとって頂けると嬉しいです。
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https://citylookspretty.stores.jp/items/60eedd2d56e0f12220d603f3
デザインは、アムステルダムの雑貨屋でポスターを見つけて一目惚れをしたイラストレーターのRik Stabelと、レコード・レーベル「Format Wars」の紹介で出会ったデザイナーのEmiliano Quintana。オランダで出会った実践者の活動や場所の観察記を詰め込んでいます。
<目次>
p.10 We were (not) supposed to be in Amsterdam たどり着いたのは、アムステルダム p. 12 Creating a project room at home コラム:家のプロジェクトルーム化のすすめ p.16 Making interventions in cities インタビュー:Cascolandの創始者フィオナに聞く、都市介入の作法
p.22 Mapping the invisible コラム:「見えないケア」を可視化する、コレクティブマッププロジェクト
p.26 We are so similar コラム:「私たちは思っているほど違わない」 文化の接続点を探る対話
p.28 Voice from the creator インタビュー:あなたにとって、「よそ者」であることとは? Rik Stabel
p.32 Trust in Play インタビュー:アーバン・ゲームの学校 「Trust in Play」
p.38 Community garden エッセイ:私たちの手で、世界は変えられる。アムステルダムのコミュニティガーデン
p.42 Through the windows in Amsterdam エッセイ:ある日の、夜の、窓観察
p.49 さあ、今度はどこへ行こうか?
👀 Guest pick / from Malaysia🇲🇾 (August 2021)
今月のゲストピッカーは、マーレシア出身の建築家・Boonhau Limさん。ミャンマー、マレーシア、中国出身のメンバーと共に、建築設計事務所・Studio Plizを東京で立ち上げ活動しています。秋に私たちが企画をしているフェスティバルfor Cities Weekでは、彼らがCentral Glass International Architectural Design Competition第55回目の最優秀賞を受賞したアイディア「NEO-ERGONOMICCULTURE」を池袋の会場で実装する予定です。お楽しみに!
以下、Boonhau Limさんが選ぶ、今チェックしておきたい都市のグッドニュース。
Urban News
Earth 2
近い未来、都市のデザインもバーチャルになるかもしれない。そんな可能性を彷彿とさせたのは、2020年末にリリースされ「第2のビットコイン」とも呼ばれている「Earth2」だ。バーチャル空間に第2の地球として開発され、ユーザーは実生活で行われる不動産取引(土地売買)を通じて、利益を生み出すことができる。地図サービスのMapboxと連携し現実の地球全体と地理的にもリンクしている(東京駅なども売約済みらしい)。今後は、土地を構築する資源の生成や交換もできるようになるという。都市を舞台にしたバーチャル上の社会経済が、私たちの暮らす都市のあり方も変えてしまうかもしれない。そんな面白さと不安を感じさせるサービスだ。Urban Sketcher Japan
都市を探索するときにおすすめしたいのは、自分とは異なる誰かの視点で、ゆっくりと都市を観察すること。Urban Sketcher Japanは、約900人ものメンバーが所属するFacebookグループ。日本在住のスケッチャーや日本を訪れた人が、日本の風景を「Urban Sketcher」として描き投稿している。何気ない風景のスケッチと作者のコメントもセットでアーカイブされていて、誰かの記憶を覗き見しているようで面白い。
Local Action
新新村 Village Vision
マレーシアの地方の村を活性化させるための活動「新新村」が面白い。村人たちから村の活性化につながるさまざまなアイディアを募集し、参加者同士が互いに情報を共有したり、専門家からサポートを受けることのできるプラットフォームとしても機能しているという。マレーシアでは、都市への介入を促すプロジェクトはSNSなどで多くみられる一方で、地方の村ではまだ珍しい。この活動は、地方の村でも変化を起こすことができる成功事例として注目を集めている。
Perspectives
The Metropolis and Mental Life
「なぜ都市では人間関係が希薄なのか?」約100年前に行われた、社会学者ゲオルグ・ジンメルによる講義「大都市と精神生活」について、今捉え直してみると面白い。大都市と小さなムラ社会を比較しながら、大都市では、貨幣経済の合理性が個人のパーソナリティ(他者との関係性の築き方)にも深く影響していること、それにより個人が感情を失い他者に対しての無関心を装うようになると指摘している。時代の流れとしては、コロナの影響や地球温暖化など、都市生活での課題が顕在化し、都市での生活を見直す時期にきているように思う。都市でもムラ的な顔の見える関係性や安心感を求めあったり、消費的な関係性ではなくお互いに生産をすることで対価を交換し合うような関係性が求められてきているようにも感じる。ジンメルの解いた都市の精神生活を理解しながら、それらの態度を乗り越える挑戦が、私たちがありたい都市生活には必要なのかもしれない。Commonalities in Architecture
パブリックスペースにおける公共性とは、その空間と時間を共有する人々の間に生まれる共通のふるまいによって、空間として立ち現れるものである。建築家・塚本由晴氏がこの記事で紹介する「コモナリティ」という概念は、ある社会・文化に生活している人が共有しているものを「ふるまい」と呼び、それによって担保される公共性や空間性について焦点を当てる興味深い議論だ。Boonhau氏もこの概念に出会ってから、パブリックスペースにおいて人々が共有するふるまいに注目するようになったという。個人の行動は自由とはいえ、知らず知らずのうちに、私たちは他人と似たようなふるまいをしているらしい。誰かが考えたプログラムにのっているわけでも、誰かが管理しているわけでもなく、人々が自然に思いついてやっているふるまいがシンクロする時、公共性が生まれる。1人1人のふるまいのパターンとその共通性を、ゲームのように観察してみることは、自由なふるまいを私たちの手に取り戻すための一歩かもしれない。参照:「対談:空間と個と全体──コモナリティのほうへ(10+1)」
🎧 Podcast New Release
【#55】いま、都市伝説は生まれるのか?
👉 ご視聴はコチラから
今回のテーマは「都市伝説」。そういえばいつの頃からか、都市伝説というものを友人同士で真剣に話す場も少なくなりました。本エピソードでは、ゲストに株式会社KADOKAWAの音声コンテンツ企画を担当する小枝信介さんを迎えて、都市伝説の起源、ロシアの都市伝説、現代社会における都市伝説の生まれ方についてお話ししてみました👀
【#56】都市の風景を音で紡ぐ「都市音楽家」って?
👉 ご視聴はコチラから
音には風景がある。ある人にとっては、懐かし場所を思い起こさせたり、ある人にとっては、まだ見ぬ遠い異国の地の風景だったり。そんな音が作り出す、色とりどりの世界に今回はお邪魔します。ゲストは、都市音楽家(Urban Composer)の田中堅大さん。音から都市を捉える方法、サウンドスケープと都市論など、音を起点に都市をどのように体験し、表現していくのか、その視点や感覚に迫っていきます。
【#57】ドキュメンタリー映画「東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート」を観て
👉 ご視聴はコチラから
いつの間にか始まっていたオリンピック。開会式の日である23日に公開された「東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート」というドキュメンタリー映画を観賞してきました。1964年のオリンピック開発の一環で建てられたこのアパートは、今回のオリンピックの新国立競技場の建設のために壊され、住民たちは強制退去を余儀なくされました。オリンピックは都市にとって、私達にとって、どのような意味をもつのか。この後、何が残っていくのか。さまざまな意見がある中で、私たちなりに考えてみました。
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